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Stayin' Alive

はるるんが140文字じゃ書ききれない気持ち

無題

15才。

彼女は毎日ぼんやり生きていた。

夢中になれることもなく、一生懸命にうちこむこともなく。

くだらない遊びをしてヘラヘラして楽しかったことにしていた。

 

真夜中、住んでるビルの屋上で吸いたくもないタバコを吸った。

「ここではないどこかに行きたい」

 

父親と母親、母親の彼氏、学校、全部から逃げたかった。

いつも現実逃避をしていた。

 

目を下にやると行き交う車のテールランプ。

赤くてきれいだな。

冷たい風が煙と灰を吹き飛ばしていった。

 

彼女には親友がいた。真奈美ちゃん。

いつもつるんでいた。

 

そして家に入り浸っていた。

真奈美ちゃんのお母さんは嫌な顔もせずに「ご飯食べていく?」

泊まった日には仕事に行く前に、お弁当を作ってくれていた。

 

彼女は真奈美ちゃんのお母さんの事が、自分の母親よりも大好きだった。

もうこの世にはいないけど。

 

ある日、真奈美ちゃんから「妊娠した」と告げられた。

相手は以前、一度だけ会った男の人だった。

ナンパされた相手。

どうしてそんな事するの?

まだ15才、産めるわけがない。

もうつわりが始まっていた。

 

彼女はほんの少しお小遣いをカンパをして病院をあちこち探し回った。

保険がきかないから、親にバレない、という噂を聞いていた。

でもなるべく遠い所の病院に電話をして予約をした。

真奈美ちゃんはお姉ちゃんからお金を出してもらって中絶した。

 

当日、彼女は自分の事でないのに悲しくて仕方なかった。

その日はちょうどテストで、真奈美ちゃんよりもテストをとってしまったことを申し訳ないと思って泣いた。

「気にしないで、大丈夫だから」

 

真奈美ちゃんは平気そうにしていた。

「運が悪かっただけだよ」

いつもと変わらない笑顔。

 

いつも彼女は現実逃避していた。

どうしようもない現実、もって行きようのない感情。

どうかして空虚な毎日を埋めようと一生懸命だったかもしれない。

バカな子供なりに。

 

2人はよく放課後、校庭の野球部のネットによりかかかりながら

 

「ここじゃないどこかに行きたいね」

「誰も私らの事を知らないところに」

 

白い息をはきなから話していた。

お揃いで買った手袋をして。

 

冬の空は高くて透き通っていた。

 

そしてどこにも行かないまま卒業した。